新型コロナウイルスの感染不安から、保育園の入園をあきらめる「預け控え」の傾向が今年も見られる。今冬の第6波は子どもへの感染拡大に伴う休園が急増しており、子育て中の親が二の足を踏む要因になっているためだ。預け控えによる園児の減少が保育園の経営悪化につながるとして、支援に乗り出す自治体も出てきた。(本間ほのみ)
感染避けられない、仕事諦めたくない
兵庫県西宮市のメーカー社員の女性(29)は、息子を4月から保育園の0歳児クラスに入れる予定だったが、見送ることにした。「感染リスクが心配だった」と語る。
保育園を探す「保活」をしていた昨秋、3カ所に申し込み、人気の保育園に内定した。ただ、コロナで見学が一度もできず、今年に入って全国的に子どもの感染が急増してからは、内定先の保育園も含めて地元では休園が相次いだ。
息子はまだ、いろいろな物を口に運んでなめてしまう年頃。同じクラスで陽性者が出たら、息子も感染を避けられないと感じた。復職が遅れてキャリアアップに影響することも恐れたが、「それは大人の事情」と自分に言い聞かせた。「何が正解かは分からないが、コロナが落ち着いたら入園させたい。無理のない決断かなと思う」
コロナを理由とした「預け控え」は、昨春の入園申請から目立っていた。厚生労働省によると、2021年4月の認可保育園の申込者数は約282万8千人で、09年の調査開始以来初めて前年を下回った。全国の待機児童数も過去最少の5634人となったが、前年より待機児童が10人以上減った180のうち57の自治体が、「預け控え」をその理由に挙げた。
一方、預け控えが増えても、待機児童の6割を占める東京や大阪などの都市圏や政令指定都市では厳しい保活が続く。そのプレッシャーを感じる中、悩んだ末に入園を決断した親もいる。
東京都江東区の会社員女性(31)は0歳の娘を4月から預けて復職する。いったんは入園を見送り、育休を延長すると勤務先に伝えたが、さらに仕事を休むことへの不安や、入園が難しいとされる1歳児の保活を見据えて考え直した。
入園の内定が出たのは、感染が急拡大した今年1月。いざ復職しても、休園や娘の体調不良で仕事を休みがちになるのでは。育休を延長した方がいいかも――。思い悩んだが、コロナで仕事を諦めることに納得できなかったという。
オミクロン株は感染力が強いとされ、保育現場では感染対策に注力しているものの、全国的に休園が急増した。「入園してもしなくても感染するときはする。やるだけやってみよう」。女性は、そんな心持ちだという。(本間ほのみ)
預け控え各地で、園の経営に影響も
新年度の入園申し込みや結果の発表は現在も続いているが、預け控えの動きは各地でみられる。
大阪市では1歳児クラスの申…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル